私はとある大学で神経科学を研究をしていますが、これまでデータ分析から図表の作成まで、主にMATLABを使用してきました。理由はシンプルで、大学院生のとき初めて所属した研究室で最初に教わったのがMATLABだったからです。MATLABは使いやすく、様々な解析に応用できる優れたツールだと思います。
そんな私がPythonを勉強しようと思った理由を紹介させていただこうと思います。
① 費用
ご存知の通りMATLABの使用には有料ライセンスが必要です。現在私は学生ライセンスのため1万円買い切りで使用できます(ただし最新版にUpdateするにはライセンス更新料がかかります)。しかし卒業後に使用するAcademicライセンスは大きく費用が変わります。
年間ライセンス:約4万円
永久ライセンス:約8万円※
※こちらもUpdateには別途ライセンス更新料が必要
1年間ライセンス

永久ライセンス

(※https://jp.mathworks.com/pricing-licensing.html より、2025年12月時点)
大学でキャンパスライセンスを契約している場合や、研究室単位で一括購入していることもありますが、そうでない場合は個人で購入する必要があります。特に若手研究者はラボの移動が多く、研究費も潤沢ではありません。その点で、環境に左右されず使える技術を身につけたいと考えると、無料で使えるPythonのメリットは大きいと感じました。
② Pythonのコードは「ダウンロードしただけでは使えない」
論文で面白い解析手法を見つけ、著者がコードを公開してくれていることがあります。
しかし、Pythonの環境構築をしていない状態では、それらのコードは動きません。
MATLABは必要なツールボックスがあらかじめ揃った状態で動くため、基本的にはインストールすればすぐ使えます。
一方Pythonは、
・実行環境の設定
・仮想環境の構築
・ライブラリのインストール
といった作業を自分で行う必要があります。
そのため、「公開されているスクリプトダウンロードしただけでは動かない」という問題が発生し、これが私にとって大きな障壁でした。一部の論文ではPythonに馴染みのない人でも使えるようにGUI形式でアプリのような形にして配布してくれている場合もありますが、これはごく少数です。
「Pythonで書かれている時点で使えない」のでは、研究の幅が広がりません。これがPythonを学び始めた大きなきっかけの一つでした。
③ 神経科学分野でのPythonの優位性
これは私の主観になるのですが、近年の神経科学分野の論文ではPythonが主流になりつつあるように感じます(これについても、また調べた記事を投稿できればと思います)。
最近のハイインパクトジャーナルの論文では、実験で取得した神経活動データを深層学習(Deep Learning)により解析し、実際の行動データと絡めるといった解析方法が多くみられます。特にこの深層学習の分野ではPythonの優位性があるようです。私自身も勉強を始めたばかりなのですが、理由としては、
・PyTorch/TensorFlowなど深層学習ライブラリが充実
・GPUとの相性がよい
・Google Colabなど無料でハイスペックな環境が利用できる
・Pythonを利用した深層学習の研究が多く、参考にできる文献が多い
といった面が挙げられると思います。
MATLABにもDeep Learning Toolboxはありますが、学生ライセンスでは標準搭載されておらず、追加購入が必要です。使用目的が明確なら追加購入する価値はありますが、「まず勉強してみたい」という段階なら、無料で始められるPythonのほうがハードルが低いと感じました。
おわりに
以上、私がPythonを勉強しようと思った理由について書かせていただきました。まだまだ始めたばかりですが、勉強を進めていき有用な情報をシェアできればと思っています。
